ひとり読書会、「うつ」の構造-第5章

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  ひとり読書会を始めて、さっそく困った。日本語なので単語の意味はだいたい分かる。だけど、何だこりゃいったい、としか感想が浮かんでこないのだ。

お終いにするってのも一案だけど、そうはせずに取りあえず自分にとって取っつきやすい章から読んでいくことにした。で、第5章、序文によると「記述精神病理学に精通した古茶大樹」先生から始める。
・・・前半の総論はエライ先生に対して失礼かも知れないが、全く同感ですとしか言いようがなかった。

精神疾患には身体的原因が見つかっていないものが多い。同一の身体的原因で発症する疾患の「種」として同定できるのでなく、似たような症状の揃ったものを仮に集めて作った「類型」にあてはめるしかないことが多い。その「類型」に該当する症例をたくさん集めて身体的原因を追究して、同一の身体的原因が見つかれば見事その「類型」は、病気の「種」に昇格することになる。

しかし精神疾患で「類型」から「種」に出世を果たしたものは多くない。例えば進行麻痺が梅毒だと同定されたぐらいしか。

 

   そういう例外ではなくて、ある「類型」に該当する症例を集めて身体的原因を探っても見つからない場合にはどうするか? その「類型」の決め方がおかしいんじゃないかと疑うことになる。疑って、新しい「類型」を提唱して身体的原因を追究していきましょうってのがDSMの一つの狙いかも知れない。

そして身体的原因なんて見つからなくていいよ、名人が診断したらそれを鵜呑みにすればいいよと言ってるのが、私からすると編者の内海健先生だ。

じゃー第5章の古茶先生は? ここからは第5章の後半だ。うつ病、「体験反応」、退行期メランコリーは別々の「類型」に分けるべきで、仮面うつ病はうつ病の類型に含めるべきだとお考えのようだ。ていうか先生の記述精神病理学では、その3つ(4つ?)の類型に先生があてはめる症例は、似たような症状が揃ってないらしい。そして治療も全く違うから、別々の類型に入れないといけないらしい。

しかしこの3つ(4つ?)の類型とも身体的原因が分かっていない、ていうか分かっていたら「種」になるので「類型」と言った時点で分かってないってことだけど、ホントに4つとも別物なのか、将来どういう組み合わせで同一の「種」と判明するのか、読んだ側には判断しようもないわけで、ほとんど内海健先生の、名人が診断したらそれを鵜呑みにすればいいよってのと変わりがない。信じるか、信じないか、洗礼受けますかどうしますかって、宗教の話のような感じがする。

うーーーん、困った。で最近めっきり足が遠のいてしまったけど、医局の症例検討会を思い出した。もちろん検討が必要ってことは、そりゃ身体的原因が分かっていなくて、どの「類型」に入れましょうかっていう症例だ。

 

   だいたい若手が自分の想定した類型に対して、お偉方がケチをつけるというか、意見をする。が、、、類型はどこまで行っても類型で決め手はないわけだから、お偉方が想定した類型と違うとエライ事になる。お偉方の想定した類型に当てはまる点はないのか、この点はどうなんだ、この症状はあるか聞いたのか、こういう観点から考えてみたのか、等々と終わりがない。
しかしたとえ診察時間に制限がないとしても、どの科の疾患であろうと総花的に何でもかんでも想定して調べてってことは普通しない。こっちの方面かなと目星をつけて、そこを重点的に検討していくので、想定が違っていると検討してないことだらけで、症例を提示した者は叩かれ放題になる。
ていうか、他科の疾患で想定=疾患の大きな分類がまるで違っていることはあんまりないだろう。ていうか身体的原因が分かっている疾患については、大分類が違っていれば全くの誤診だと判明してしまうので困ったことになる。

しかしまあ精神疾患は身体的原因が分かってないものが多くて、「類型」も誰かの想定にしか過ぎなくて後から見れば本物かどうだか分かったもんじゃないので、誤診かどうかも不明。じゃー自分の独自の「類型」で診断するとさすがに怒られるので、誰かの作った「類型」、例えばDSMで診断しましょうというと、その「類型」は使いものにならんと言って怒られたりもする。あちゃー。

医局の勉強会はお偉方の想定しそうな「類型」で話を作って持っていくのが無難よねってことになる。

しかしお偉方の想定した「類型」を無批判に受け入れるなら、それは科学ではなくなるわけで、仕事のあとに行っているお稽古ごとと同じになるわけで。・・・私のお稽古事はどれも初心者の域を出なくて、指導者を真似て体を動かそうとそれだけで精いっぱい、名人になれば師範のここは違うよねーって違う流派を作れるのかも知れないが。名人になるまでは要らんことを考えずに真似だけしとれって、うーん精神医学もお稽古も同じか・・・。どうしても思考がそこへ行く。で訳分からなくなって、この章はおしまい。

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